5月5日

蕨岡延年の太平楽 
境内に用意された穴に大御幣の根本を差し込み、大きく振り回す 


 上蕨岡は上寺とも呼び、昔は竜頭寺を学頭に三十三坊が軒を連ねる鳥海山の修験者集落であったところである。大御幣祭は修験者が大先達になるための胎内修行の名残を伝えるといわれる。

 紅白の布で包んだ太い青竹を本体にして、扇を先端に、表に日の丸、裏に鏡をはり、日・月を表す。大御幣は神宿の入り口に飾られる。

 大祭は口ノ宮大物忌神社で始まる。午後、神宿で神事が行われる。獅子が舞う御頭神事、続いて巫女舞が奉納される。

 神宿から神社拝殿へ大御幣送りが始まる。大御幣本体の竹を持つ者、上方に結んだ綱を引く者など男たち数十名が、もみ合いながら参道を進む。笛・太鼓で囃す。拝殿参道入り口で、若者が大御幣に登る。頂上の旗を降ろすと、大御幣は一気に参道を駆け、境内に用意された穴に大御幣の根本を差し込み、大きく振り回すこと9回。

 境内の神楽殿で、中世以来の伝統を伝える蕨岡延年が始まる。かつては氏子の通過儀礼で、七歳から稚児舞に参加した。今は七曲が奉納される。


【アクセス】
JR羽越本線遊佐駅下車、タクシー15分
山形県飽海郡遊佐町上蕨岡

写真と文章:渡辺 良正