10月第二金・土・日曜日

山車
囃子


 佐原の秋祭りは山車祭りです。氏子町から十四台の山車が祭りに参加します。山車の高さは、ほぼ3メートル余。重さが14、5トン前後。主としてケヤキを材料に精巧な彫刻で飾り、最上段に御神像を奉った見事な人形山車です。

 佐原の町は、江戸時代、関東平野の大動脈であった利根川水運の拠点として栄え、豪商が育ちます。諏訪神社の農民たちが五穀豊穣を祝っていた秋祭りに、互いに競い合って趣向を凝らした見事な山車を奉納、祭りを盛大にしました。江戸時代の後期から明治、大正、昭和にかけて造られた山車の御神像は実に様々。造られた時代の影を映して、また各町民の心情を反映して興味深いものです。例えば

一、すさのうの尊
二、ににぎの尊
三、ヤマトタケルの尊
四、神武天皇
五、仁徳天皇
六、諏訪大神
七、牛天神
八、源頼義
九、鎮西八郎為朝
十、源義経
十一、楠正義
十二、楠正行
十三、浦島太郎
十四、小野道風

といった具合で、五穀豊穣を祝う祭りとは思えないほど、日本人の信仰のありようを映し出しています。

 山車の中段で奏でられる囃子は、水郷にふさわしく情緒豊かで笛・鼓・鉦などの楽器で囃します。時々山車を止めては揃いのハッピ姿の男女の曳き子たちが、曲に合わせて手踊りを披露します。かと思うと、中日の夕方の「のの字まわし」と呼ぶ荒々しい曳き回しも演出。祭りの興奮を一気に高め、観客を驚かせます。四輪車の後輪に重点を置き、揃いのハッピ姿の若者集団が、リーダーの合図の下、一致団結して力を合わせ、山車を急回転。二回、三回と山車を回転させれば佐原囃子も急テンポになり、周りを取り巻く大勢の観客を興奮に巻き込んで、拍手、声援に沸き立ちます。

【アクセス】
JR成田線佐原駅下車
千葉県香取市佐原 諏訪神社


写真と文章:渡辺 良正