11月19日

裸の男たちが赤飯を入れた盤台を担いでもむ
盤台を据えて境内で行われる神事


 有氏神社は武蔵七党の一つ、児玉党の祖、有道氏を祀ると伝えられている。祭りの起源は江戸時代中期の正徳三(1713)年。祭りの運営は氏子の中から三年間不幸のなかった家が頭屋に選ばれ、神流川で身を清めて奉仕した。昔は祭りの前日と当日の二日間、氏子全員が集まって、共食を楽しんだ。しかし近年は頭屋の負担があまりにも大きいと簡素化されている。赤飯はうるち米五升、小豆一升。シトギは一昼夜水に浸したうるち米を立臼に入れ、杵でついて練り上げる。せんべい状にして南天の葉に盛る。昔、戦場に出た農民の携帯食だったとか。今は安産と災難除けのお守りである。

 午前十時頃、頭屋の家から神社へ向かって行列。榊を持った神官、御幣を捧持する頭屋、神酒、シトギ膳、盤台、太鼓と続く。いちょうの巨木が黄色の葉を一面にちらした境内で素朴な神事。裸の男たちが赤飯を入れた盤台を担いで、「上げろ、下げろ」の掛け声で神輿のようにもむ。盤台が高く上がれば米の値が上がると言った時代もあった。

 ひとしきりもむと、赤飯をを周辺に撒き散らす。赤飯はオミゴクと呼ばれ、難産除け、災難除けになると参拝者が喜んで手に受ける。

【アクセス】
JR本庄駅よりバスで40分、渡戸停留所下車後、徒歩8分
埼玉県児玉郡神泉村下阿久原 有氏神社