4月第一土、日曜

桜の下、稚児を肩車で御神田へ進む
御神田で早乙女たちが田植歌を歌いながら稲を植える


 下総の国一ノ宮として崇敬されてきた香取神宮の御祭神は経津主神(ふつぬしの神)。延喜式神名帳で、三重県伊勢大神宮、茨城県鹿島神宮と並び、特記されてきた古代から由緒ある神社である。

 瑞穂の国と呼び、稲の収穫を頼りに歴史を重ねてきた民族だけに、稲の豊作を祈る祭りは、農民はもとより国民の願いを込めて強い熱意と緊張感を持って伝承されてきた。特に大自然の威力が大きく、人力が弱かった時代、神々への祈りは切実だった。

 香取神宮の御田植祭りは二日間にわたって行われる。初日は神田祭。神社拝殿で神事、参道で耕田式、ペシミ、ナソリ、ウバの仮面を付けた三神(荒神、稲荷、田の神とも言う)がナギナタを手に笛、太鼓の調べに合わせて祓う。ゆるやかな田植歌に合わせ袴の朱色も鮮やかな8人の稚児たちが優雅に舞う。

 二日目は御田植式。拝殿から約1キロ離れた御神田へ御神幸、渡御行列がある。折から広い境内は春、桜が春風に舞う。笛、太鼓の調べものどかに、行列は進む。なかでも大人の肩車で進む3歳未満の稚児8人に大花笠がかぶさるように高々と開きながらそれぞれにお供していく様は古風で風雅。伊勢の伊雑宮、大阪の住吉大社とともに日本三大田植祭と言われる。



千葉県香取市 香取神社